・ソニーのスマホ事業がどうなるか気になった方
・PPM分析の事例を見に来られた方
2019年3月29日 Livedoorニュースより
ソニーがスマホ部門の人員半減や工場閉鎖へ 世界シェアは1%未満
引用のとおりソニーのスマホ事業に関して報道がありました。
兼ねてからスマホ事業の赤字は知られているところではありましたし、売却あるいは撤退の噂はありましたが、ついに来た大規模なストラクチャリングという印象です。
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ソニーはスマホ事業から撤退するのか?PPM分析をしてみた結果は…
スマホ事業は「モバイル・コミュニケーション(MC)」です。
見事に「負け犬(Dog)」という結果でした。
原則は、投資した経営資源を回収して撤退を考えるポジションと言えます。
ソニーのセグメントはいくつあるのか?
全部で8つです。
- ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)
- 音楽
- 映画
- ホームエンタテイメント&サウンド(HE&S)
- イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)
- モバイル・コミュニケーション(MC)
- 半導体
- 金融
PPMとは?
PPM:Product Portfolio Management(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)は、ボストン・コンサルティング・グループが提唱した事業管理のフレームワークです。
市場成長率と相対シェア率から、「花形」、「金のなる木」、「問題児」、「負け犬」の4つの領域に分け、事業に対する投資と回収を分析します。
縦軸は“市場成長率”、横軸は“相対シェア率”ではないの?
・横軸:営業利益率
もちろん、自社のPPM分析を行うときは各セグメント毎の市場成長率や相対シェア率を調べてください。
セグメント別の売上高と粗利(営業利益)を公開している企業であれば分析することができます。
したがって、個別銘柄を分析する場合にも使えます。セグメント別の規模を、成長率と利益率で捉えることができるので、企業の投資と回収のバランスを把握することができます。
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結論:5Gへの対応のために通信事業は残す
3/27付けで以下の引用のとおり発表されています。
ニュースリリース:ソニーとドコモ、グアム島の5G試験環境を活用したニューコンセプトカート SC-1に関する共同実証実験に合意 より
ソニー株式会社(以下、ソニー)と株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、第5世代移動通信方式(以下、5G)を活用した新たな利用シーンの創出に向け、ドコモがグアム島に開設した「ドコモ5Gオープンラボ® GUAM」、および100%子会社であるドコモパシフィック社が2019年夏以降に提供開始予定の屋外試験環境を活用し、ソニーが開発したニューコンセプトカートSC-1※1(以下、本カート)の遠隔操作実現に向けた共同実証実験(以下、本実験)を行うことについて本日合意しました。
リストラクチャリングによってスマホ事業の固定費を削減させています。とは言え、『通信』という事業は手放すつもりはないようです。今後に目覚ましい発展が期待できる『5G』に経営資源を投入するものと思います。
今後はどうなる?
2019年4月1日付で、イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)事業、ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)事業、モバイル・コミュニケーション(MC)事業を合わせ、エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)事業とし、石塚茂樹がEP&S事業全体を統括し、高木一郎がこれを補佐する体制とします。
ニュースリリース:ソニー株式会社 2019年4月1日付 機構改革及び役員人事について より
スマホ事業は間違いなく縮小していく方針でしょうが、セグメントが統合されるので各々の状況はわからなくなってしまいますね。
Xperiaの今後は今後の発表を注視するほかはない状況です。
PPM分析の結果と違わないか?
PPM分析の結果、確かにモバイル・コミュニケーション事業は『負け犬』でした。原則的には『撤退』を意識すべきポジションです。
PPMの弱点として、各事業のシナジー効果(範囲の経済性)を考慮していません。
今回の場合は、リストラクチャリングによって間もなくやってくる5G時代を見越した戦略と考察しています。
おわりに
今回は報道に基づいてPPM分析をしてみました。ご参考まで。
このPPM分析とCVP(損益分岐点)分析は、財務諸表や決算説明会資料から企業分析することができます。
問題児のセグメントをCVP分析できれば、どのくらい売上を積み上げれば利益を出すことが可能かを評価できます。損益分岐点まで程遠い事業であれば、説明会資料で注力してきますのような方針が苦し紛れかどうかも確認することができます。また別の機会に書きたいと思います。
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