「その製品なぜ売れたのでしょうか?」
消費者の頭の奥底にある“買う”という行動の要因、“買う”と決めるまでのプロセスを理解することで、魅力的な製品を提供するプログラムを見出せるかもしれません。
いまさら聞けない!?コトラーの購買決定プロセス
コトラーは、お客さんが“買う”と決めるまでの過程が5段階の『購買決定プロセス』が存在すると提唱しています。
購買決定プロセスでは、実際の“買う”よりかなり前から始まり、“買った後”にも注意を払うことを推奨するモデルです。
問題認知
『問題認知』とは、現実の状況と望ましい状況との違いによって生じる問題あるいはニーズを認識した時点です。
内部の刺激
いわゆる三大欲求に起因するもので、例えば空腹や渇き、性欲が消費者の中であるレベルを超えると、これらを満足させようとします。
現状:「お腹すいたな」 ⇒ 望ましい状況「お腹いっぱい」
このニーズって自然と内部から湧き上がってくるものですよね。
外部からの刺激
「お腹すいたな、何か食べたいな」というニーズは、自然と内部から湧き上がるだけではなく、例えば、焼き鳥屋さんの前を通り過ぎたときに漂う香ばしい匂いに食欲が掻き立てられたりしますよね!
この場合の「やきとりが食べたい!」というニーズは「香ばしい匂い」という外部からの刺激によって導かれたと言えます。
他にも、友人が購入した最新のiphoneを羨ましく思ったり、テレビで流れるCMをみて温泉旅行に行きたいなと思ったりする場合も、すべて問題やニーズのの認識に繋がっています。
・お客さんのニーズが何に引き起こされたのかを調査すべし!
情報探索
問題認知をしたお客さんは、そのニーズを「記憶に留めておく」あるいは、そのニーズにしたがって『情報探索』をし始めます。
拡大注目と積極的な情報探索
誰しも経験があるのではないかと思いますが、例えば新しい携帯電話が欲しいと思っているときには、自然とその情報を意識していますよね。
街頭ビジョンの携帯電話のCMや吊り広告、友達がどの機種を使っているか、街中で他人の携帯電話の話題に聞き耳を立ててしまう、などなど。
この意識的に行っていない穏やかな情報探索を『拡大注目』といいます。
情報探索にはもう一段階あって、資料を取り寄せたり、インターネットで情報収取したり、友人に聞いたりする意識的に行う情報探索を『積極的な情報探索』といいます。
4つの情報源
お客さんの情報源は主に4つに分けることができます。
- 個人的情報源:家族、友だち、ご近所さん、知り合い
- コマーシャルな情報源:CM、折込チラシ、陳列棚、セールスマン
- 公共情報:マスコミ、消費者団体
- 経験的情報:お試しサンプル、取り扱ったことがある経験
情報の量は「コマーシャルな情報源」圧倒的に接する機会が多いと考えられますが、
購入に結び付く情報は「個人的情報源」である
と言われています。
・お客さんの情報源を押さえるべし!
・インタビューのポイントは…
その製品はどこで知って、
どんな情報だったか、
それが購入にどんな影響を与えたのか?
代替品評価
情報探索によって複数の選択肢を持つようになったお客さんは、
多くのブランドの中からどのようにして一つのブランドを選択するのか?
ブランドを絞り込んでいくときの評価プロセスには5つの基本概念があります。
5つの基本概念①製品属性
お客さんは、製品を属性の集合体として捉えている
属性というのは、“特徴”と言い換えると分かりやすかもしれません。つまり連続運転時間が〇分だとか、写真の解像度が良いだとか、使いやすいだとか、重くないだとか、コンパクトであるだとか、こういった類の“特徴”(属性)が寄り集まって「製品」として見ているということです。
・製品属性に関心度に応じて顧客グループを細分化できる
5つの基本概念②製品属性に対する重要性
お客さんは製品属性に対して、違った『重要性』を持っている
勘違いしやすいポイントですが、重要な製品属性が、お客さんがすぐ思い浮かべることのできる(想起)属性というわけではありません。頭に思い浮かんだのは、たまたまCMを見たばかりだったり、その製品属性で解消できるニーズを持っていたりしたのかもしれないので。本質は製品属性ということを忘れてはいけません。
・注目すべきは製品属性!イメージばかりに気を掛けるな!
5つの基本概念③ブランドイメージ
お客さんは、ブランドと属性それぞれに特有のイメージを持っている
ブランドのひとつひとつが、それぞれの属性においてどのくらいの段階にあるかというブランドイメージを作り上げています。個々のお客さんが抱いているブランドイメージは、その人自身の経験、ブランドに対する思い入れ、記憶などに影響を受けるために、客観的な現実の属性レベルとは違っている場合が存在している。
・お客さんの主観的なブランドイメージがあることを認識する
5つの基本概念④効用関数
お客さんは、製品属性ごとに満足度が異なる
『効用関数』とは、お客さんが製品属性のレベルによって製品満足度がどのように変化するかを示すものです。お客さんは製品属性ごとに『効用関数』をもつと言われており、製品の属性それぞれの効用関数を比較することでブランドを絞り込んでいます。例えば“重さ”において、ある人は“とにかく軽い”の効用関数が高い、一方で他の人は“重量感がある重さ”の効用関数が高い、といった具合に製品属性ごとに満足感を得られるポイントは異なるのです。
・製品の特徴(属性)ごとの満足度を比較してブランドを選ぶ
5つの基本概念⑤ブランドに対する態度
お客さんは、独自の評価をしてブランドを好きになる
独自の評価はお客さん自身によって方法は異なり、買うときの状況にも左右されます。バッテリーの持ちがいいとか、重くないとか、予算は3万円以下とか、使い勝手がいいとか、いくつかの属性を比べるお客さんもいれば、たった一つの属性で決める人もいます。
・ブランドの評価方法を調査すべし!
購買決定
お客さんは代理店評価によってブランドの優劣を付けて、『購買意図』を形成します。そして、最も好ましいブランドを購入する。しかし、この『購買意図』が形成されてから『購買決定』するまでに影響を与える2つの要素がある。
購買意図に影響を与える要素①人々の態度
購買意図に影響を与える『人々の態度』の好例は、 お父さんが高いゴルフクラブを購入したい旨をお母さんに相談して一蹴されるようなケースでしょうか?(笑)
お父さんの「ゴルフクラブを買う」という『購買意図』は形成されていた。
しかし、『人々(お母さん)の態度』で購入には至らなかった。
ご自身で置き換えてみると想像しやすいかもしれません。
自分が何かを買おうと決めたときに周囲の人たちがどんな態度を示すのかと、その人たちのアドバイスに従うかどうか。これが『購入意図』に『人々の態度』が与える影響度といえます。
購買意図に影響を与える要素②予想外の状況
購入意図が形成されていたとしても購買決定に至らないほどの予想外のケースです。
会社をクビになったり、雨漏りがして修繕費に回さなければならなくなったり、買おうとしているブランドの品質異常が発生したり…
100人が購買意図があっても、実際に購入するのは30人
とある家電製品の12か月間を追跡調査したところ、Aというブランドを100人が購買意図があると答えた。実際にその家電製品を買ったのは半分以下の44人であり、ブランドAを選んだのは30人だったという調査結果があります。
個人レベルでは不安感から、購買するブランドを変更したり、購買することを延期したり、購買そのものをしなかったりすることを表している。
「高価なモノだから失敗したくない」
製品の値段が高ければ高いほど、誰もがこのような不安感を強く感じるはずです。
・お客さんの不安を解消させる情報提供をすべし!
購買後の行動
購買後の満足
お客さんが“買った”製品に対して満足なのか不満なのかを決めている要因は何だろうか?それは、
お客さんの製品に対する期待と製品自体のパフォーマンスの関係
すなわち、期待どおりであれば満足、期待はずれであれば不満ということです。
お客さんが期待するパフォーマンスとの間にギャップが大きければ大きいほど、不満は強くなります。
裏を返せば、製品のパフォーマンスをあえて控えめに低く見積もることで、“買った”時の期待よりパフォーマンスが高いことを満足してもらうこともできます。
「この製品を買って大丈夫だったかな?」
と、不安に陥りやすいのは冷蔵庫、洗濯機、テレビなどの高額で大型の商品によく見られます。
このような製品のブランドごとに見分けが付かないけれども、いざ“買う”となると色々と調べることが多い『不協和解消型』のカテゴリに分類される製品は、購入後にその不安を解消するための行動をします。
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具体的には、口コミサイト等で“買った”製品の高評価のレビューを見て安心したり、“買わなかった”製品の欠点を見つけることで納得したりすることが挙げられます。
・製品のパフォーマンスは公正に表現すべし!
・戦略的にパフォーマンス・レベルを控えめに伝えるのも手!
購買後の行動
購入した製品に満足するかどうかで、その後の行動は変わります。マーケティングの世界ではこう言われています。
『最良の広告は、満足している消費者である』
すなわち、製品に満足してくれたお客さんは次回も買ってくれるし、他人にその製品の良さを紹介してくれます。
不満を抱いた場合には要注意
お客さんが製品に対する不満を爆発させる場合は、『公的行動』か『私的行動』のいずれかを取ると言われています。
『公的行動』とは、企業に直接クレームを入れたり、弁護士に相談の上で法的に賠償請求を起こしたり、消費者団体や政治団体に苦情を呈したりすることが含まれます。
『私的行動』とは、その製品を二度と買わないと心に決めたり、友人に買わないように注意を促したりすることです。
いずれにせよ、販売する側としては何らかのダメージを被る
すなわち、お客さんの不満に細心の注意を払う=問題点の改善へ繋がります。その結果として顧客満足度を上げる努力を続けていくことが必要です。
・満足度が高いことが『広告』になると心すべし!
・アフターフォローで購入後の不安を解消しべし!
まとめ
今回は、初学者向けにコトラーの購買決定プロセスをまとめました。「必要だな」と気付いて、調べて、比較して、実際に買って、少し不安になる。この一連のプロセスは誰もが経験しているのではないでしょうか?
マーケッター目線でいえば、
「どうして必要だと思ったのか?」
「どんな情報をきっかけに購入したのか?」
「何と比較して購入したのか?どうやって評価したのか?」
「“買う”時にどんなことを不安に思ったのか?」
「“買った”後に満足感はあったのだろうか?満足してないのは何故?」
各プロセスで自問自答することが必要と言えるでしょう。
お客さんに買ってもらう前から、買ってもらった後までのプロセスすべてに意識を向けることで、次に買ってもらうときにリピーターになってもらえる確率がグッと上がるはずです。
こういった積み重ねがやがて、その製品のブランド価値を高めていく結果になります。それらが他社の真似しにくい競争優位の源泉になりうるということですね。
引用文献:
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